若年化する孤独死の実態と背景

若年化する孤独死の実態と背景

みなさんこんにちわ、あさがお不動産の早川です。

前回は高齢化社会における認知症との付き合い方について記事を書きました。高齢化と共に増えるのは孤独死です。

当店でも管理物件にて年に1~2件程度、ご自宅で最期を迎えられる方はいらっしゃいます。

本来は親族や家族が看取ってあげて欲しいとの思いはありますが、なかなかこのご時世ではそうもいかないようですね。

『孤独死』について、どんなイメージをお持ちでしょうか?

孤独死について調査し、統計化している孤独死対策委員会は「孤独死」を「自宅で死亡した事実が死後判明に至った一人暮らしの人」と定義しています。

別の視点では、遺体の引き取りや、遺品整理などをする人もいない状態での死を、孤独死の本来の意味としています。

どうしてこのような孤独死がおこるのか、現代の社会に照らしながら考えてみます。

孤独死の現状

孤独死という言葉は2000年以降、ある男性の孤独な死をきっかけにメディアなどで注目され、社会問題化されています。

現在では1時間に3人もの人が亡くなっており、これからの時代孤独死はさらに増えると予測されています。

しかし、時代の流れと共に希薄化している人間関係での社会的孤立や孤独死問題は、高齢化社会に突入した1970年代からあるのが実情です。

その無縁社会は移り変わる時代の変化と共にさらに進み、孤独に亡くなる人たちの背景も変わってきています。

増える若年層の孤独死

テレビなどメディアでは、身寄りのないお年寄りが人知れず息を引き取るケースが多く取り上げられています。

しかし、実際には孤独死には平均年齢は男女ともに61歳と、高齢者と定義されている「65歳」に達していません。

これは、60歳以下の社会を担う現役世代である20~50代の孤独死が全体の4割を占めているからなのです。

特に50代は男女ともに多く、健康上や家族構成など様々な要因があると考えられているからです。

孤独死の男女差

男女別では男性が圧倒的に多いですが、女性の平均寿命が長いにもかかわらず、孤独死での死亡時の平均年齢は男女差に差はわずか。

女性では40代までが男性より割合が大きく、男性では60代が32%を占めています。

結婚や育児などで生活環境が大きく変わる、40代までの女性。それに対し、社会的にプレッシャーが大きくなるとともに病気にかかりやすい50代男性。

孤独死の男女差は、社会的役割が深く関係しています。

孤独死  増加の理由

英語でDying(死ぬこと)alone(孤独で)と検索すると、『kodokushi』と書かれたページが多く出てくるように、海外では『孤独死』は日本独特なものであることがわかります。

孤独死を映し出すの本社会とは。

1人で亡くならなければならない3つの理由と、悲しい背景がそこには実在します。

現代社会からの孤独死

孤独死の死亡原因の一つであり、いつもの時代も問題視されている自殺。

自殺者が増えていることが孤独死の増加にもつながっています。

自殺の主な理由として10代や20代では交友関係で、30代以降は仕事や家庭での深刻な問題だという。

特に近年の若い世代では、SNSの普及により実社会との距離が広がっています。SNS上での虐めやプレッシャーを受けやすくなることも、その結果と言えます。

一方、例えば主婦の場合では子供のお受験問題、男性では仕事の責任など、実社会のあおりをまともに受け、誰かに相談することもなく自ら命を落とす人が増えています。

家族関係が生む孤独死

1980年代と比べると、核家族自体の割合は大きく変化していないものの、単身や夫婦のみの世帯が増加。仕事の為に家族と離れて生活をする人が多いのも日本の特徴と言えます。

昔から、「便りがないが良い便り」と言い、離れて暮らす家族への連絡は、用事がある時のみという傾向があります。

しかし、こういった家族形態の多様化と家族関係の希薄化が孤独死を生んでいると言っても、過言ではありません。

発見原因では、3日以内の発見では訪問・音信不通が88%を超えています。

発見までの期間が長期化すると、異臭や家賃滞納による発見の割合が上昇。

家族と連絡がつかず、警察やアパートの管理会社に頼み、ようやく発見されるという無視できない現実が多く起こっています。

高齢化社会での孤独死

高齢化率の増加によって、孤立する高齢者が増えていることが孤独死を導いています。

その多くは自身に起きた問題を相談できないなど、社会的孤立が原因です。

2007年には超高齢化社会に突入、高齢者率は2025年には30%に達するとも見られており、孤独死も増えると考えられています。

高度成長期に労働力とされた世代から、1940年代生まれの団塊の世代の高齢者。毎日働きづめで、家族や周囲に頼ることが苦手な世代でもあるため、自ら孤独を選ぶ人も多いのが実情です。

孤独死をなくすための対策

クーリエ・ジャポン様より引用

どんな理由であれ、孤独死を防ぐには周囲のサポート絶対的に必要です。

具体的には、

対面でのコミュニケーションを意識し、現実社会での関りを深める。

家庭内でのコミュニケーションを増やし、悩みを少しでも相談できる環境をつくる。

近所と関りを持てるようにし、社会的孤立をさせないようにする。

家族への用事以外の連絡や訪問の頻度を増やし、他人任せにしない。

現代社会では、「便りが無いのは良い便り」ではありません。

何かあった時には手遅れにならないよう、周囲の人たちの環境づくりで人々を孤立させない事が重要です。

さいごに

孤独死の背景には人々の人生が映し出されています。たとえ短い生涯でも、孤独に終えることをこころから望む人は存在しないでしょう。

高齢者の孤独死はもちろんのこと、自殺での孤独死を減らすことは不可能ではないはず。

孤独死の若年化はおろか、孤独死全体の問題解決には、一人一人の意識と身近な人への関係の見直しがキーポイントであることは間違いありません。

いかがだったでしょうか?当店の管理物件でも高齢入居者が増えました。

不動産会社としてこの社会問題から目をそらすことなく積極的に入居者とコミュニケーションをとろうと思います。

前回の記事でも書きましたが、当店では支援協会等と協力して見守りサービスを行っております。

高齢の家族を抱える方でお部屋探しにお困りの方はぜひご連絡ください。

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